日本でも生地作りを教えたい!

 ビンテージ感の強い独特の雰囲気を持ったLyriaの素材はコレクションブランドからの信頼も厚い。
テキスタイルデザイナーとして活躍するのはヨーロッパでも名を上げるリッカルド ブルーニ氏(Riccardo Bruni)だ。家がプラトーの小さいテキスタイル工場だった事もあり、7歳の時に既にテキスタイルデザイナーを志していた。
 幼少から織機の匂いに囲まれ、生地の匂いが大好きで、毎日遊ばず糸から織られるまでを眺めていた。リッカルド氏が生地を作る事を愛する事は自然な事のようだ。
「作っている時のナチュラルな匂いが自分を捕らえる。生地を作る一番の理由は匂いのため。」と自分の世界を強く持っている。化学薬品を避ける事にも気を使い、その事で理想的な匂いに近づくという。
 リッカルド氏はバルトニーニ(Bartolini)社で17年働いていたが、その才能に惚れ込んだチェルッティー(Cerruti)社がリッカルド氏を起用したLyriaを立ち上げたのだ。
今シーズンはダブルフェイスが目立つ。今までよりも異素材の組み合わせが多く、薄いベルベットとダンガリーの組み合わせが新鮮だ。今シーズンから日本向けにカラーカードを付けて積極的に提案している。毎シーズン新しいものを追うよりも、自分自身からくるインスピレーションを大切にしているリリアの素材だが、日本で扱えるブランドは少ない。

Liria リッカルド ブルーニ氏

「日本にはヨウジヤマモト等素晴らしいデザイナーがいるが、古着屋などでは非常に安く売られている。日本人はビンテージに対する感覚があまりない」と残念に思う部分があるようだ。
 リリアは、ビンテージ=完全でないということ、「不完全さ」を哲学に成り立っている。「No perfect No age」完全でなく、年を重ねない、そんなテキスタイルを目指しているのだ。
 ビンテージ風素材は昔はなかなか受け入れられなかったようだが、2002年あたりから状況が変わったようだ。はじめから来ていたような、馴染むような効果や、昔から自分のものであったかのような服が受け入れだした。そして古いものには歴史があり、物語りがある。それはとても自然な事で、リッカルド氏にとって生地を作ることは本を読むことと同じくらい自然だと言う。将来は学校の先生を目指しているという。
「未来は、ヨーロッパよりもアジアにある。アジアで新しい人材を育てたい。特に中国だ」と熱くなる。
そして中国で生地を作る事を考えている。中国で生地を作る意味は、ただ現状のようなビジネスとして作るのではなく、中国の民族性や独自性、歴史、文化を反映させた生地作りをする事に意味があると語る。日本でも生地作りを教えたいと、夢は広がっている。